事件の経緯

(株)東亜システム代表取締役 吉岡一栄の手記から

◆詐欺内容の概要

野村證券、第一勧業銀行等の企業犯罪が取沙汰されている中、NECの子会社、 NECパーソナルシステム(文中はNECと表記)も凶悪な犯罪を犯していた。

NEC長野営業所が、長野市内の五十店以上の電気店の名義を使い、 トラック便の送り状、請求書、領収書等の私文書を偽造し、各電気店に配布、 不正取引きを働いていた。入手した偽造文書を分析すると、約八年間、 長野営業所だけで五千枚に及ぶ私文書の偽造と二百億円以上にのぼる 架空取引行為を働いていた事が分かった。

本社からのノルマが厳しい為と販売テリトリーの関係上、本社へは市内の電気店 へ販売した様に見せかけ、実際には都内の現金問屋(通称バッタ屋と呼ばれてい る)へ先方の言い値で卸していた。当然、本社からの仕切り値より安く売る訳だ から、その差額分(NEC側の話では値差と言う)は本社への支払いが滞ってい た。そこで計画したのが今回の詐欺である。


私の経営している会社、東亜システム(以後、文中は東亜と表記)からNECは商品 を詐取し、本社からの商品と同様のバッタ屋へ売り、本社への支払いの値差分に当 てていた。私の会社で開発用に使用するパソコン(PC)をある時期からはセイコ ーグループの代理店から購入することにした。NECの社員に「いままでうちから 買っていたのにどうしてなのか」と尋ねられ、私は「セイコールートのほうがこれ ほど安い」と仕入れ伝票を見せた。後日来社したNEC社員は「本社からの仕切り より大分安い。これほど安ければ市内の電気店に喜ばれ、大量に売れる。NEC( 長野営業所)にも仕入れさせて貰えないか」さらに「98ノートとDSシリーズが 品薄で困っている。なんとか探して欲しい」旨、頼まれた。平成3年3月頃から大 きな取引きになり、支払を2ヶ月後に延ばしたのもこの頃です。7月までは(5月 分)はきちんと支払って頂いたが、8月末に6月分を支払って貰えず結果的に、6 月分の4328万円、7月分の9555万円、8月分の1490万円、合計で1億 5375万円が未入金です。6月が約4千万円のところ、なんと7月が一気に倍以 上の9千万円以上もの注文に膨れたことは、そろそろ潮時と考えたのでしょうか。

NECの車で複数のNEC社員が商品の受取りに来ていながら「受領書のサインは 丸山(NEC社員)のものであり、丸山が個人的に購入したにすぎない。会社とし ての仕入れでなく、当然支払う意志はない。」と主張しているのである。商品引き 取りの際、私の会社を含め一般的に、会社のゴム印などを持参して行くだろうか、 商品を販売する側としてもその会社の見慣れた社員であれば、その担当者のサイン ひとつで商品の引渡しをしてしまうのは通常である。

一億五千万円は、NECにとっては微々たる金額であるかもしれないが中小企業で ある東亜にとっては膨大な金額です。当然のことながら東亜はNECに対し、商品 代金支払い請求の民事訴訟を起こした。その裁判の中の証人尋問でNECの社員、 丸山は

「本社からのノルマが厳しく、それが達成できないと殴る、蹴るの制裁を受けるの で何がなんでも売り上げを作らなければならなかった。西山所長も東京のバッタ屋 に売って値差を出してしまい転勤させられ、営業担当も同様な事をし値差の一部だ け弁償し会社を辞めていった人が何人もいます。このような架空取り引きを何年も 続け結果的に膨大な穴をあけることになった。東亜からの商品仕入れはその穴埋め に利用することが目的、当然、東亜への代金支払いが不能になってしまった。」

と証言した。その証言にある架空取り引きの釈明を求めたが、NEC側からは

「本件訴訟はNECが購入したとされる商品の支払い請求事件であって、NECの おこなった口座流用とは取引形態が正反対、何ら結びつくものでない。」

との主張を続けて、架空取り引きの実態を何一つ明らかにせず、原告の提出した証 拠書類さえも採用されなかった。その外にもNEC側には極めて卑劣な手段を巧み に使われ、私共は敗訴してしまいました。しかし、裁判の中でNEC社員の貴重な 証言と証拠書類などを入手できた事とNECの悪質な架空取引きが浮き彫りになっ た事は成果だと思います。さらに公判中にNEC側からまったく悪びれずに架空取 引き、口座流用などのことばが幾度も出てきたことには非常に驚きました。NEC 内部では架空取引きや不正行為は日常的になっている事が裏付けられます。


「現在のパソコン全てのCPUがペンティアム一色になっている。」と言っても過 言でない時代に入っている。このCPUを開発したのはインテル社である。二十数 年前、当時では夢のようなデバイスである8Bit-CPUのi8080が誕生した 。この画期的なCPUを開発した企業もやはり、インテル社である。しかし、この CPUをNEC日本電気はコピーし、型番upD8080の名で製造販売していた 。さらに10年後、インテル社は16Bit-CPU、i8086とi8088を開発し 発表した。NECは性懲りもなくまたまたコピーし、upD8086,upD80 88の型番で製造販売をおこなっていた。当然インテル社はその都度、裁判を行い 、NECは被告になっている。このように幾つもの裁判をこなし裁判なれしている NECが今回、私どもの相手である。裁判自体が初めての私どもはもっと慎重に戦 うべきであった。たとえ「買った商品代金の支払いをせよ。」と言うあまりにも単 純明解な裁判であれ、簡単に勝てると楽観していた事は大きな間違いであった。

現在のNECは誰もが認める電気の最大手である。その不動の地位を築く過程でど れほどの人や中小企業が泣かされて来たのか想像すると恐ろしくなる。NECが電 子デバイス、パソコンのシェア、など現在の位置を維持し続けている裏には他社で 開発したデバイスや商品のデットコピーをおこない。仕入れた商品の代金の踏倒し 、その他、考えられないような非情な犯罪を続けてきた背景がうかがえる。


◆長野県警にパソコンやワープロなどを賄賂として

私は事件発覚後すぐ、長野中央署刑事二課に被害届けを提出するため何度も足を 運び、捜査のお願いをした。しかし「おまえ会社の社長やってんだってな儲ける ときだけも儲け、損した時だけこうやって来やがる。」と山崎刑事。「裁判始め たって言うじゃあねえか、民事訴訟では時間がかかるから警察を利用しに来たん か。俺たちはいろいろな事件を抱えていて忙しいんだ。お前に俺たちを徹夜させ る権利があるのか」と高津刑事。など、行く度にこのように罵られていたので、 毎日夜遅くまで働いていると思っていた。

ある日午後6時ごろ電話すると、当直は「刑事二課は全員今日も早く帰って誰も いませんよ。」と言う。忙しいなどと嘘を言い、これほど頼んでも何もしない、 逆にこちらが犯罪者であるかのような暴言を吐かれる。次第に警察に不信を抱く ようになり、刑事告訴をあきらめ始めた。

それから3ヶ月位過ぎた頃、私の古い友人に「長野南署には正義感の強い刑事が いる。」と薦められ、半信半疑でお願いしに行った。南署の浅田刑事は長野中央 署の刑事とはまったく違い「調書を作るのですぐ告訴状を持って来なさい。」と のこと。翌々日からの4日間、朝9時から夜7時すぎまで、休憩なしで調書の作 成をしてくれた。最後の日「他の刑事が逃げ腰になるのは、この調書を作るのが 大変で嫌がる。調書ができれば事件が解決したようなものだ。」と励ましてくれ た。しかし、その浅田刑事は1ヶ月もしないうちに転勤、この事件を引き継ぐこ とになった刑事は以前、私を門前払いした中央署の山崎刑事である。


NECはパソコンやワープロ等を長野県警へ事件発覚前から(賄賂として?)プ レゼントしていた。(NECから警察への送り状を入手)私がNECによる詐欺 の被害届けと告訴状を長野中央署に提出したが、受理してもらえなかったのは、 それらが理由であった事が後に独自での調査により解った。その後、幾度もの折 衝の末、前項で述べたとおり長野南署が告訴を受理してくれた。

しかし、県警サイドは刑事裁判が行われ、賄賂の件が公になることを恐れ、作為 的に捜査の着手を遅らせた。ただし、必要以上に私から被害届けと賄賂の件など をつつかれるので、NECの会社ぐるみの犯行であるにもかかわらず、NECの 社員の丸山1人だけを長野検察庁へ詐欺で書類送検した。しかも私文書偽造によ る時効(3年)を待ってからである。さらに念には念を入れ丸山に、書類送検の 数日前に私の銀行口座に二万円振り込ませている。一回でも支払いがあれば、「 支払う意志がある」とみなされ、詐欺にはならない事を刑事自身が逆にうまく利 用していたのである。

つまり、私があまりうるさいので誰かを書類送検して体裁を付けた。ただし、起 訴され裁判になるとNECとの癒着が明るみに出てしまうので不起訴処分になる ような仕掛けをしたのである。仮に丸山が主犯と言うならば証拠隠滅、逃走のお それから逮捕、取調べが常識なはずである。しかし、伝票、書類等を見れば、商 品の購入、その商品の販売先からの入金など、全て、NECである。

書類送検された丸山個人の横領、金品の着服等は一切見受けられない。さらに私 文書偽造の上での詐欺であるのに、私文書偽造の捜査ができず(すでに時効)、 詐欺のみを起訴できるわけがないと思っていた。ただし私としては何等かの形で 主犯の一人だけであれ公の場で裁かれ、NECの企業犯罪がTV,新聞など、マ スコミで取り上げて頂ければ幸いと受け止めていた。


事件発覚から約五年半経過後の平成9年3月31日付で、長野地方検察庁から一 枚のはがきの通知書が届いた。処分内容は案の定[不起訴]である。当然、不起 訴には不起訴となる理由があるわけで長野地検に問い合わせた。その為、数日後 の平成9年4月9日、不起訴処分理由告知書なるものが届いた。そこには「嫌疑 不十分」のたったの5文字だけが書かれていた。

数十枚にのぼる文書が不起訴処分理由として送られて来ると思っていた私は唖然 とした。不起訴処分理由告知書のタイトルでさえ漢字10文字もあるのにその内 容の本文がたった5文字である。不起訴理由となった「嫌疑がどのように不十分 であるのか」知りたくて再度長野地検に問い合わせると「告知書以上のことはお 答えできません。」とのことである。

。「詐欺をした者が嫌疑不十分で不起訴処分になった。それ以上のことは一切公 表できない。」との回答は一億五千万円もの詐欺に遭った被害者が納得できる訳 がない。長野県警には詐欺を立証するのに十分すぎるほどの証拠書類を提出して いるし、主犯の丸山やその他のNEC社員が私の会社から商品を運び出し、仕入 れをしていながら代金の支払いをしていないことはNEC社員自らが認めている 。それを立証する捜査も済んでいる。長野地検が「嫌疑不十分」と言うならNE Cから賄賂を貰っていた長野県警が調書を捏造し、しかも私が提出した証拠書類 の重要な物だけ省き長野地検へ書類送検したとしか思えない。

前項でも述べたが不起訴処分になるように細工したのである。長野地検は被害者 である私を呼び出し事情聴取さえしていればその際私は「この様な証拠書類も県 警には提出してある。」旨伝える事ができ、さらには調書の捏造の疑惑もハッキ リしたはずである。嫌疑不十分の内容を当事者である被害者にすら公表しないだ けでなく、被害者からただの一度の事情聴取もしないまま事件を闇に葬った長野 地検も長野県警同様に何か裏取り引きがあったと思えてならない。

不起訴処分により刑事訴訟は行われない事が決定し、民事裁判の中では長野県警 とNECの癒着は追及されない事は明白で県警側としても計画どおりに事が運び 安心している事でしょう。平成8年6月4日に長野地裁は民事訴訟の判決では「 商品の受け取りはNEC従業員の丸山個人で代金支払いの義務は丸山個人であり 、NECは商品代金を支払う必要なし」と言っているのに対し、検察庁は丸山を 不起訴処分にした為「会社間の通常取引き」にしたのである。同じ司法機関の判 断が相反しているが、私はどちらの判断に従えば良いのだろうか、膨大な被害を 受けて、泣き寝入りをしなければならないのだろうか。

この五年以上の間、警察と検察庁の動きの遅さに不信感を抱き検察審査会に幾度 も申し入れをしたが「検察庁で不起訴が確定し、それに不服の際、被害者の異議 申立てにより、我々は動けるのです。起訴、不起訴が確定していない状態では我 々はどうしようもない。」と、あっさり無視されていた。私は起訴または不起訴 の確定を何年も待った。ようやく出てきた処分が不起訴、その異議申立ての申請 書を提出すると、今度は「異議申立ての申請書は一応預かりますが、この事件は もう時効ですね」とあっさり言われてしまい、いまだに連絡ひとつありません。 五年半も何もせず、時効まで引っ張ったのは警察、検察であって、私ではないの です。


◆各新聞社の姿勢に怒り

朝日、読売、毎日、信毎など、ほとんどの新聞社の記者が、この事件を取材に来 た。膨大な量の架空取引きの書類を見て、詐欺の手口を知り「これはひどい事件 ですね地方欄のトップ記事ですよ」とまで言っておきながらまったく記事にしな かった。

数日後ある新聞社の記者から「NECからは年間に数億の広告を掲載させていた だいており、この事件を報道することにより、それらがなくなる恐れがある。我 々の死活問題でもあり、今回の事件は記事にできない。」との電話連絡があった 。私は「宣伝広告費さえ支払っていれば、人殺しをしても記事にならないのか」 と怒鳴ってしまった。後で考えれば、わざわざ電話で「記事にできない」旨を連 絡してきた所はまだ良い方で、その他の新聞社は、その後一切の連絡すらないの だ。


マイナーな新聞で駅などに置かれている内外タイムスだけが、このNECの事件 をトップ面で報じた。アダルト向けのこの新聞はでソープランド、クラブなどの 広告がほとんどで、とても天下のNECからは広告掲載依頼があるわけがなく、 利害関係はない。そんな理由から記事にできたのだろう。


現在のTV,新聞などマスコミは大企業、政治家、官僚などと、どこかでつなが っている。その関係上、国民に知らされない(知らすことができない)重要な犯 罪や、事件が沢山ある。野村證券、第一勧業銀行の総会屋との癒着は十年以上も 前からの事、それが最近になって浮き彫りにされる。製薬会社と厚生省は天下り などで、数十年癒着が続いた結果、薬害エイズであれほどの犠牲者が出た。何ら かの利害関係があり、報道できない。はっきり言って報道が遅いから犠牲者が増 えるのである。政治家、官僚の不祥事が後を絶たないのはそんなマスコミに責任 があると思うのは私だけでしょうか。


例を上げれば、あの金丸信の番記者は朝から晩まで麻雀などをやっていて、常に 一緒に居た。何処からどういう名目でどのように裏金が入っていたのかほとんど 知っていたと言うより、知ってしまうはずである。しかし、金丸の資金集めの状 況などは逮捕前までは一切報道されなかった。


◆長野税務署と国税局の不審な点

不正を働いているのは県警とNECだけではない。NECの長野営業所は八年 間で、五千枚以上の私文書偽造と2百億円もの架空取引を行っていた。全国に 事業所が百二十五ヶ所あるのだから全事業所も同様な架空取引きをしていたと なれば二兆円を超す計算になる。

不正摘発のプロである国税局査察が、これほどの大規模な不正に気付かないは ずがないと思うが、事件発覚後すぐ、私は長野税務署と国税局査察宛てに捜査 、摘発に充分すぎる程の証拠書類を数百枚提出してある。ではなぜ、六年も過 ぎようとしている現在でも査察が捜査、摘発に踏み切らないのだろうか。長野 県警同様、NECと国税局との癒着以外、他にどんなことが想定できようか。 税務署側は自らの不正も表面化することを恐れている向きがうかがわれる。

我々のような零細企業の決算申告書で数万円の記載ミスが発覚したなら、税務 署職員は鬼の首を取ったごとく罵り、有無を言わせない。私は「税務署とNE Cの関係、NECへの優遇処置」などを内容証明郵便にて長野税務署宛てに質 問しているが、いまだに一切回答がない。秘密主義を固守した厚生省は非加熱 製剤でとうとう人殺しまで行った。

大蔵省、税務署はまだ懲りないで守秘義務云々を主張し、自分らの都合の悪い 事は何一つ答えようとしていない。先日、来社した国税局の職員に私は「大企 業の場合は決算書の申告の内容がデタラメでも良いのか」と、問うと「この事 件の内容からNECは申告より安い金額で販売している訳だから脱税行為は見 受けられない。だから、査察に入らない」と言う。私は空かさず「調査、査察 に入らなければ申告金額より安く売っていたのか高く売っていたのか解からな いし、実際に販売していない店の名や架空名義の名を使っているのだからどん な不正行為や脱税をしてもわからないではないか」と言うと国税局の職員は一 言も言えなかった。ついでに「こんごは、うちも架空取引き、口座流用をし、 デタラメな決算申告書を国税局へ提出する。」と言ってやった。


さらに長野税務署の態度には腹が立つ、裁判所から決算書の提出を求められた が、私どもの申告書は税務署に郵送するので控えには税務署の受付印はありま せんでした。何とか税務署に提出した決算書と同じ控えである事を証明できる 方法が無いかといろいろ考え、控えを袋とじにし、税務署に持参、税務署に保 管されている申請書と全てのページが同じである事を確認して頂き、受付印を 求めました。

しかし、公的機関である税務署としては申告書提出と同時でないと受付印も押 せないし、裁判所へ提出する申告書と、税務署に提出された申告書の内容が同 じであるとの証明書の発行すらできないとのことでした。ただし、税務署の総 務係長の小松氏個人での証明は可能とのことでしたので申告書の最後のページ に小松氏の印を頂きました。しかし、裁判官は「個人印では公文書と認められ ない。」さらに、NECの代理人は「長野税務署にこの証拠の確認をしました が、その様な件は一切答えられないとのことです。」と裁判官に伝えていた。 まるで私が提出した申告書は偽造したかのようにです。長野税務署側は、税務 署保管の物と裁判所へ提出した物の内容が一致している事を確認している訳で なぜ正直に話をできないのだろうか。


◆NECの代理人(弁護士)も大悪人

依頼人から預かった数億円を着服する弁護士や、オウム心理教の青山弁護士、 横山弁護士、など、弁護士の目に余る行為、犯罪が騒がれている。そのような 悪徳弁護士にこの事件で私はじかに接する事ができた。それは支払うべき代金 を支払わず、商品を騙し取った犯人(NEC)の代理人を引き受けた弁護士、 岡田宰である。その卑劣な策略の幾つかを記します。


・裁判の引き延ばしを巧みにやった。
商品の売買が誰の目からもはっきりしており、私の主張どおりの判決が出て簡 単に終わると思っていた。しかし、毎回の公判時、次回公判の日時を決める際 、「予定が入っている」と言っては、裁判官の幾つか提示する一番遅い日を選 ぶ、つまり、二ヶ月後と三ヶ月後の場合、必ず三ヶ月後の日時を選んでいまし た。だだの一回ですら早い日を希望したことがない。毎回の公判の間隔が長く 、平均、三ヶ月以上だったのはそれが原因です。

さらに、岡田弁護士の「腹が痛い」との申し出により、第十回と第十一回の裁 ]判は七ヶ月も間隔があきました。ところが高裁での公判では一転しその逆、 「一審どおりの判決に持ち込むには短期決戦が有利」と考えたのか、裁判官の 指定する一番早い日時を毎回希望していました。わずか半年の間に「悪徳弁護 士のうわさが広がって、急に暇になった。」とでも言い訳するつもりなのでし ょうか。
・自分の主張した事に一切責任を持たない。
「NEC社員の伊藤、阿部が原告から持ち出した商品は、以前原告の関連会社 へ売った商品の返品分であって原告からの購入品でない。」と言っておきなが ら、私が返品するということはそれ以前にNECから購入していなければつじ つまが合わないため、その商品の受領書の提出を求めた。すると、こんどは商 品を持ち出したことすら否定し始め、こちらの要求した受領書など一切提出さ れなかった。
・自らが不利な状況になって来ると「関連性がない」と言って逃げる。
NEC社員の証言内容により、架空取り引きの釈明を求めたが、NEC側から は「本件訴訟はNECが購入したとされる商品の支払い請求事件であって、N ECのおこなった口座流用とは取引形態が正反対、何ら結びつくものでない。 」との主張を続けて、架空取り引きの実態を何一つ明らかにせず、当然、証拠 書類さえも提出されなかった。
・事件が公にならないテクニックを知っている。
裁判係争中、内外タイムスと言う新聞が「NEC詐欺」をトップ面で報道した 。しかもNEC関本忠弘社長の顔写真入り記事である。実際に架空取引も詐欺 もしていないと言うのであれば、名誉毀損で訴えるのが当然でる。刑事裁判は 民事裁判のように甘くはないことを知っていて裁判を始めたらNECの不正行 為のすべてが暴露されてしまうことを恐れ、だんまりを決めていたのである。


その外にもいろいろありますが、きりがないのでこのくらいにします。この岡 田弁護士の数々の卑劣な行為により、「正義感が強く弱者を救済するために努 力するのが弁護士」との私の以前からの認識はもろくも崩れ去りました。


◆裁判の疑問

平成八年六月四日,一審判決が出た。「 原告の請求をいずれも棄却する。」 つまり、原告の全面敗訴となった。裁判所の判断に疑問が多々あるので、幾 つかまとめてみました。

今回のように裁判に訴えても、判決が下りるまで何年もかかり、零細企業で は持ちこたえられず、最終的には消滅してしまう。仮に判決まで踏ん張って 戦っても裁判所は証拠書類などはほとんど見ず、大手企業が有利なような判 決を出されてしまうのではどうしようもない。現在のような日本のシステム では弱い立場の国民や小さな企業の犠牲者は減らないだろう。


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